国立病院機構H27決算から見る医事関連データ

国立病院機構143施設 (H27決算)経常利益TOP10
http://archives.mag2.com/0001588268/20161110190000000.html

■100億円以上の入院収入(室料差額別)15病院
■30億円以上の外来収入 17病院
■5,000万円以上の保険等査定減 18病院
■1億円以上の医事委託費 36病院
■1億円以上の経常利益 37病院
(H27決算 経営優秀病院ランキング!)

査定率ランキング  TOP30
保険等査定減 /(入院収入+外来収入)

査定率が高いところは委託費比率と経常利益に高い相関
H27年度決算データより。
査定率が高いところは委託費比率1%以上が多く経常利益も赤の比率が高い。逆に査定率が低いほど委託比率が0%台で経常利益が黒である比率が高い。      などと表面上の数字だけみて分析してもおひねりは飛んでこない。収入が上がれば各勘定科目の比率も変わってくるからだ。まず大前提の入院収入が本当に現状で適正かどうか。そうした条件もクリアされた上で上記比率の分析を行えばより正確な結論に近づく。入院収入の適正かどうかの問題については単純明快「入るを量りて出ずるを為す」。入り(入院収入)出る(人件費)のミスマッチをただす事。

H26改定でDPCの主要疾患は入院期間Ⅱ以降の梯子が外されている。入院収入の伸びが鈍化し、7対1死守やチーム医療関連で採用した人件費が重くのしかかっていること。まずはヒトの配置と算定する入院基本料をマッチさせる分析や病床利用率は常に85%以上あるのかどうかの確認。ヒトの配置(看護師)は常に満床近い状態を見越しての配置としているが、空きベッド率が高く人件費と生産性がかみ合っているのかどうか(ABC・TDABC/ABM分析)。現状・将来の新入院数・紹介率などのデータも合わせて医事課と看護部はシミュレーションを行わなければならない。

DPC点数と地域包括ケア病棟の点数を比較すると、主な疾患では入院期間Ⅱになった時点で点数の逆ざやとなりヒトの配置(人件費)も逆転する。7対1(10対1)と13対1の看護師の配置であるにも関わらず点数は13対1のほうが高くなる。H26改定のインパクトであり、H28改定では更に後押しされた。ただこうした分析結果を幹部に報告しても様々な内部・外部の要因もあり経営決断ができないようである。これが機能分化が進まない原因に思う。長年10億円以上の経常利益を出してきた超有名病院がH26を境として大幅に落ち込み青息吐息の状態に。機能分化を促進させた中小病院の経常利益に追い抜かれる始末。

H26は医療介護の連携元年となり、DPCは入院期間Ⅱ以降の点数が引き下げられている(およびDPC係数の調整)。H28はその傾向が強まり、在宅復帰率80%や地域包括ケア病棟の手術出来高など急性期からの後方連携が強化となった。繰り返しとなるがDPC病床では急性期を脱した後でも引き続き同じ病床で軽快等を待っていたら、7対1(10対1)の診療報酬(入院基本料)の収入と地域包括ケア病棟(13対1)の入院基本料の収入が逆転してしまうケースが多い(下部の「病床転換シミュレーション」資料参照)。病床機能転換等のアクションを行わなかった病院は人件費コストは以前のままだが入院収入が伸び悩んでいる。経営が芳しくなくなったのはこれが最大の原因である。(あと新病院建設後の病院の経常利益大幅マイナスは上記とは関係なく初年度の諸々コストがかかるため咀嚼が必要だろう。)

またTOP30の中で査定率が高く委託費比率1%以上であっても経常利益を黒字確保している特徴は、第三次救急も行うDPC請求の大病院(DPC係数が高い)や高度専門病院であること。情報管理の充実と分析担当者(専門職)の能力も高い   っということかどうかは不明。大病院の急性期ほど、まだDPC制度の梯子(入院期間Ⅰ点数など)により経営は守られ前年度実績が担保(DPC係数)されていることが主な要因だろう(結果として調整係数・機能評価係数Ⅰ・Ⅱ合計が1.4~1.5などになり、DPC制度の梯子が得られている状況になる)(下部の「病床転換シミュレーション」資料P23~参照)。DPCⅠ群Ⅱ群や総合入院体制加算の算定病院は守らないと日本の救急が崩壊してしまう。それにしても各病院、4~5年前と比べてみて経常利益が大幅に減少している。H26を境に潮目が変わりH28で本流となった。その勢いはH30でさらに増す。看護必要度と地域包括ケア病棟がキーワード。
JCHOの動き(対策)は早かった。

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(参考)
日医総研 日医総研ワーキングペーパーNo.373
国立・公的医療機関等の経営状況-地域医療構想との関係から-
http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_609.html


2極化が進む病院経営 その要因は
http://archives.mag2.com/0001588268/20161128070000000.html

(1/12追記)

■経営上、地域包括ケア病棟の導入が有利
H28改定で7対1病棟を持つ病院の収入が最大2.4%減少
7対1病棟の一部を地域包括ケア病棟に転換した病院の減収は1%台だった。

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全国自治体病院協議会
2017/01/12 平成28年度 診療報酬改定影響率調査結果(第3報)  NEW!!
https://www.jmha.or.jp/contentsdata/kikaku/shinryouhousyu/20170112_28(d3)eikyou.pdf
IV. 7 対 1 病床の一部を削減又は変更した群(44 病院)のうち、地域包括ケア病棟入院料を導入した群(27 病院)の算出結果(総収入マトリックス)
7 対 1 病床の一部を削減又は変更した群(44 病院)のうち、地域包括ケア病棟入院料を導入したのは 27 病院(約 6 割)が該当し、その群の 4-6 月診療実績を 10 月診療実績に置き換えて算出した結果が図 4 である。

図 4 に示すとおり、改定の影響がある経月変化②から、改定の影響がない経月変化①を除いたもの(②-①)が▲1.8%(置換前:▲0.3%)の影響となっている。次に、改定の影響がある経年変化④から、改定の影響がない経年変化③を除いたもの(④-③)が▲1.8%(置換前:▲0.4%)の影響となっている。

考察
以上、便宜的に 4-6 月診療実績による比較を、経過措置終了後の 10 月診療実績による比較に置き換えて影響率を算出した 4 パターンの分析(表 1)をみると、「図 1 130 病院の算出結果」で▲1.7%~▲1.9%の範囲から▲2.2%~▲2.4%の範囲となった。

うち、7 対 1 病床が変更なしの群(79 病院)の算出結果は、130 病院と比べてマイナスの影響が大きくなった一方、7 対 1 病床の一部を削減又は変更した群(44 病院)の算出結果は、130病院と比べてマイナスの影響が小さくなった。
マイナスの影響が小さくなった要因は、7 対 1 病床の一部を削減又は変更した群(44 病院)のうち、地域包括ケア病棟入院料を導入した群(27 病院)が影響したものと考える。

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前回資料

地域医療構想 都道府県知事の権限の行使の流れ
http://wp.me/p6NPV7-WZ

決算情報から医事関連データを分析する
http://archives.mag2.com/0001588268/20161207180000000.html
(参考:ベッドコントロールシュミレーション)

 

 

■人財型病院経営「人材格差が病院格差」
貞観政要から学ぶ病院経営 継続性(守成)の難しさ
経営幹部層への迅速な情報伝達と現場への決定権委譲
http://wp.me/s6NPV7-dpc2006

ヒトの配置で点数がとれるものを改定毎に適正化・シミュレーションする作業が必要。とくに病院にとって最大の収入源である入院基本料。これが遅れると1月あたり数百万円~数千万円の差が生じる。年間で数千万円~数億円。毎改定後の病院経営の善し悪しは医事課との風通しが良い病院とそうでない病院の差
http://archives.mag2.com/0001588268/20161216180000001.html

■病床管理(ベッドコントロール)の重要性
http://wp.me/p6NPV7-1eL
病院経営上、病床稼働率UPのための運営体制が基本だが、これが行き過ぎると看護必要度縛りや回復期FIM等のアウトカム評価などで診療報酬上の施設基準不適合になる可能性が出てくる。
また、病床稼働率重視過ぎるとDPC効率性係数等の機能評価係数Ⅱに強く影響を与え、結果として入院基本料の減収にも繋がる。DPCⅡ群を目指す戦略は赤字になるパターンが多い(思ったほど増収にならない)。
療養病棟でも医療区分の高い患者の割合に応じた評価が進んでいるため、区分1を多くすれば医療区分2又は3の8割および5割以上がクリアできなくなり結果として入院収入が減る。
こうした中、紹介件数・新入院状況・手術実施状況・看護必要度等、様々な経営上の重要指標を参考にして日々バランスをとって行くことが重要(繰り返しになるが、病床稼働率が病院経営にとっては最大の取り組み)。
では病床稼働率を上げるにはどうしたらいいか?
http://archives.mag2.com/0001588268/20161216180000001.html

DPC活動基準原価計算分析(ABC・TDABC/ABM)
・DPCデータをベースとした経営改善方法「労働分配率」指標のマネジメント
・DPC活動基準原価計算分析(ABC・TDABC/ABM)の実施、時間稼働型原価計算・アウトカム測定把握の時代へ

事例;病棟薬剤師の活動評価指標を作成(いわゆるABC/ABM)

ⅠもⅡもしっかり係数対策を行うことでDPC点数の恩恵が預かれる。

↓↓↓

機能評価係数Ⅰの増減比較H26-H28
https://qmir.files.wordpress.com/2016/03/dpc_kinou1.pdf

元のエクセルファイルはこちらに置いております。

(会員用)
H28診療報酬改定用増減シミュレーション(簡易) 影響調査用エクセルファイル
https://qmir.wordpress.com/2016/03/05/h28kaitei/

http://wp.me/s6NPV7-nho

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